平成19年10月10日(水)、「NPO法人MBAキャリアデザイン研究所」主催 「第5回MBAキャリアデザインセミナー」が、東京ステーションコンファレンス サピアタワーで開催されました。
今回は、「キャリアイノベーション」~キャリアにとって「MBA」「専門職」の意味を探る~というテーマで、基調講演では、先端人材育成の第一人者ある妹尾堅一郎先生にご講演を頂きました。その後、これからの活躍が期待される女性とMBAという切り口で、「女性にとってMBAの価値とは?」~キャリアアップに役立ったか~というテーマで、慶応・立教・多摩大・筑波の各大学院の女性MBAホルダーによるパネルディスカッションを行いました。当日は、各大学のMBAホルダー並びに現役生、Pre-MBAの方々をはじめ、起業を考えていらっしゃる方、企業の人事関係者等々、数多くの方々が参加され、お蔭様で満員お礼となりました。
妹尾先生による基調講演では、「キャリアイノベーション」とは何かについて、「専門家」、「キャリア」、「挑戦領域」と3分野の再考についてお話しされました。
先ず、初めに人材の五段活用として、広く、じんざいと言っても、人在、人材、人在、人罪、人済と5種類があり・・と、笑いを取った後、難しい且つ重要な、お話をとても分かり易く、熱く語って頂きました。
前半の 「専門家」を再考する のお話では、5つの専門家(高度化・広域化・汎化)、専門家の用件、MBAの位置づけ、専門家の育成モデルについてお話されました。
MBAは、「専門家育成」より「促成栽培」であり、「知識・スキル付与」より「知的基盤育成」である。
汎専門職=ジェネラリストとは?ジェネラルは将軍、つまり専門家をつかって作戦を遂行する、ジェネラリストのプロフェッショナルとなる事。
MBAで何を学ぶか?互学互修、擬似的実習体験を通して、気づきがあり、お互いに教え、学ぶことで、多様な基礎知識を得ることができる。
後半の 「キャリア」を再考する では、「成長」か、「発展」か?イノベーションとインプルーブメント、キャリアでモデルを変える?キャリアのモデルを変える?、キャリアと世界観についてお話されました。
「成長」と「発展」の違いは?「成長」とは、既存のモデルの量的拡大であり、「発展」とは新規モデルへの不連続的移動である。モデルとは、仕組み(構造)、仕掛け(機能)、仕切り(マネジメント)の事を指す。自分のキャリアを成長させたいのか、はたまた、キャリアのモデルをがらっと変えて、発展を望んでいるのか?その選択については、タイミングの見極めが重要である。
最後の、「挑戦領域」を再考するでは、MBAがこれから進出していくお薦め領域として、知財マネジメント、ベンチャーアドミニストレーション、社会事業をあげられました。
知財マネジメント領域では、技術者、弁護士、弁理士の専門家はいるが、汎専門家が少ない事。ベンチャー企業では、ホンダ、松下、ソニーの創業者に必ず優秀な副官がついていた様に、今後のベンチャー企業にMBA等の経営のプロフェッショナルが必要である。また、NPO等の社会事業にも経営という観点から求められてくる筈である。とお話されました。
専門職とMBAを絡めながら、非常に興味深い切り口からの分析、自分にとってのキャリアイノベーションとは何かを考えさせられる、貴重なお話を伺う事が出来ました。
第2部のパネルディスカッションでは、各大学院の4名の女性MBAホルダーの皆さんがご自身の仕事、キャリア観に関して、修了前後でどういう変化があったかについてお話頂きました。社会人大学院へ通おうと思った動機については、皆さんそれぞれ違いますが、総じて、直接的・間接的にもキャリアアップにつながったとの事。その他の変化や得た事として、メンタルなタフネスさ、ネットワークが広がった、自分をプッシュするテクニック、物の見方が多面的になり、思考が深くなった。 演劇のメタファーにおいては、いい演技をしよう、パーフォマンスを高めるにはという考えから、いいものを創るにはどうしたらいいかといったデイレクター的な視点で物事を見れる様になった、思考の筋トレができた等のご意見もありました。 只、会社の理解があったかというと、そこまでにはれなかなか至らず、女性のMBAホルダーだからどうだという評価は殆どされず、本人の個人的な成長に一番寄与しているという印象を受けました。会社によっては、あまり大っぴらに出来ない為、こそこそ隠れキリシタンの様に学校に通っている人もいたというお話もありました。また、失ったものとして、女性ならではの発言として、婚期や出産時期が遅れた、理屈っぽさに磨きがかかったといったネガティブなご意見もあがっていました。その一方で、子育てしながら、働きながら、大学院に通い、終いには、ご主人が専業主夫になってしまったという体験談は、非常に印象的でした。また、後輩の女性が活躍できる土壌作りを我々が作っていかなければいけないという発言もありました。この4人の女性の共通点は、才色兼備で、非常に前向きな考えをお持ちであるという印象を受けました。 今後、若く優秀な女性が気持ちよく働いていける為の環境作りに今回のパネリストの様な方々がいい手本になっていくのではないかと感じました。 NPO法人社会人大学院研究機構の代表理事をされていらっしゃる宇田川氏には、友情出演といことで、ファシリテーター役をお願いしましたが、その名司会振りも見事で、この場を借りてお礼申し上げます。
講演後は、講師の妹尾先生も交えての懇親会が行われ、名刺交換しながらの楽しい歓談の場が持たれました。今回、大変貴重なご講演を頂いた妹尾先生並びにNPO法人
産学連携推進機構の皆様には、この場をお借りして、深く感謝申し上げますと共に、今後、益々の繁栄とご成功を心からお祈り申し上げます。
次回からも、新たな企画を考え、皆さんと共に、ためになる且つ有意義な時間を共有していければと思っております。どうか今後共、宜しくお付き合い頂けます様、お願い申し上げます。
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