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2008/6/21
「第6回MBAキャリアデザインセミナー」開催報告
 
平成20年6月21日(土)、「NPO法人MBAキャリアデザイン研究所」主催 「第6回MBAキャリアデザインセミナー」が、信濃町煉瓦館で開催されました。
今回は、「企業における国内MBAの評価とその課題」~国内MBAの活用に関する実態調査の結果から~というテーマで、昨年実施しました「企業における国内MBAの評価」についてのアンケート調査の結果を当法人代表である庄司の方から発表しました。(結果内容については別紙議事録に掲載) 
 

  
基調講演では、「国内MBAへの今後の期待」と題し、青山学院大学名誉教授、青山学院学事顧問、ABEST21の理事長でもあられます伊藤文雄先生に、グローバル専門職大学院の教育の質の保証、今後の大学院の評価制度、期待される人物像等についてお話を伺いました。 その後、起業家(人材紹介業、飲食業の会社社長)、企業の人材開発に携わる国内MBAホルダーの方々による国内MBAに関する課題についてパネルディスカッションを行いました。
当日は、各大学のMBAホルダー並びに現役生、Pre-MBAの方々をはじめ、起業を考えていらっしゃる方、企業の人事関係者等々の方々にご参加頂きました。

伊藤先生による基調講演では、専門職大学院の認証評価機関をお作りなられた経緯から、今後の展望、更に丁度その前の週にソウル国立大学で開かれたABEST21の国際会議で、日本(筑波大学)、韓国(ソウル国立大学)、中国(復旦大学)、ロシア(モスクワ大学)、マレーシア(マネジメント科学大学)、タイ(チェンマイ大学)、メキシコ(モンテレー工科大学)が一同に会し発表された、「企業のビジネススクールに対する人材育成ニーズの国際調査」についても概略をお話し頂きました。
伊藤先生がMBAに関わったのが今から20年前、1990年頃、その当時、人口構造の変化を見て、2050年には1億を割っていく、そのカーブをみて生産労働人口が減っていく、その時日本の将来はどうなるか、高齢化が進んで、企業の問題、年金・福祉の問題はどうするか?その時、解決策を3つ考えた。 ①外国人労働者を増やす、②女性の労働人口をもっと増やす、③現在働いている人達の知的生産性を高める。その3番目に関して、企業は今まで少数のエリートを海外のビジネススクールに送ってきたが、これからの日本を考えた時、マスのエリートを作り出していかなければならないのではないか?その為に、働きながら勉強するという仕組みをつくらなければいけない。夜間の社会人を対象にした大学院をつくることを文科省に提案した処、反対された。そこで、一部上場企業100社に1年かけて夜間の社会人大学院構想のアンケートを行い、その結果大賛成が得られ再度、社会のニーズを示し、文科省に提案。そこで、初めて夜間の大学院が認められた。その後も様々な問題、壁にぶつかりながらも、改革を推進し、独立の専門職大学院を確立してきた。只、最後に残された問題が認証評価の問題、教育の質の問題である。MBAの教育の質の確保の為に、新たに認証評価を行う為の組織、これまでの国際政経時代からのグローバルナレッジネットワークが功を奏し、日本を含むアジア7カ国の中での国境越えての高度職業人養成の組織を作り、文科省が認めた日本で初めての認証評価機関が生まれ、これがABEST21であり、NPO法人として誕生した。日本では、今年初めて、一ツ橋大学、筑波大学、神戸大学、青山学院大学、4大学の認証評価を行っている。
これからは、教育のサービスのマーケテイングトランズアクションの時代。院生にとっては知的生産性を高めるために総コストを支払っていく。 大学院に通う時間的なコスト、授業料という金銭的コスト、勉強していくコスト、知的満足度を得られるコスト、それに見合うベネフィットを得ていく。大学側はそのベネフィットを与えていかなければならないし、同時に産業社会の中のアウトプットを考えた時に、求められる人材育成をしていかなければならない義務がある。インプットとしての院生、アウトプットしての有為な人材を作り上げるための知的なシステムなので、当然、質の保障が求められる。ビジネススクールは環境の中に存在するので、環境の変化に絶えず対応していかなければならないという事で、質の改善ということで、認証評価機関の申請をした。
ABEST21は、平成19年度文部科学省の委託事業に採択され、「多元・多様な事例の集積・提供と国際的な認証評価システムの構築」の調査研究を実施することになった。

今回、ABEST21で行われた「企業のビジネススクールの教育研究に対する期待」に関する国際的調査の日本国内での企業の期待値と観測値をお話頂く中で、『MBA取得者に対して回答企業の過半数が期待した力量は、「リーダーシップ能力」、「問題解決能力」、「意思決定能力」、「戦略思考能力」、「数量的能力」、「分析思考能力」であり最も期待の高い能力は71%の企業が期待した「戦略思考能力」であり、41%の回答企業が実際に戦略思考能力がMBA取得者に見出されるとしている。MBA取得者に対して、企業が最も期待した専門知識は、「経営戦略」の69%であったが、実際にMBA取得者に「経営戦略」の専門知識が見出されるとした企業は32%に留まった。』という報告がありました。

そのお話の中で、人事部の方々のものの考え方が変わらない限りなかなか改善は望めない。先ず人事部の方々の意識改革が必要ではないか?技術的マネジメントに関しても学会的なものの考え方で狭いセグメントをつくってしまうことの弊害も指摘されました。どうしても教える者の立場でものを、カリキュラムを考えてしまう。総じて、国内MBAの今後の期待は、明日の日本の経済を支える人材を育成するというのが唯一のミッションである。 本来の企業のニーズに合わせた人材育成をどうしていくかを考えていかなければならないと熱く語って頂き、これまでの伊藤先生の国内MBAの改革の歴史、未だ過度期である国内MBAをどう発展させていくかについて、先生ならではの独自の力強いビジョンを伺うことが出来ました。

第2部のパネルディスカッションでは、「国内MBAに関する課題」 と題し、各大学院の3名のMBAホルダーの皆さんがご自身の仕事、キャリア観に関して、入学動機、修了前後でどういう変化があったかについてお話頂きました。皆さん、それぞれ、個性的且つ華麗なキャリ・アアップ、キャリア・チェンジを展開されてこられた中、その動機は、比較的同様で、体系的に経営を学びたいという事の様でした。修了後、MBAが役に立ったかについても皆さんそれぞれ違いますが、総じて言える事は、きちんと目的を持ち、又、MBAに対して過剰な期待等もつ事もなく、そこで何を学ぶ、吸収するかが明確であった事であり、その結果としてそれなりのベネフィットを受け取ったという事です。 MBAで学ぶメリットとしては、大学教授のネットワークをフルに活用することが出来る、視野が広がる、修了後、実践の仕事で優位性が出たというポジティブな御意見もありながら、教育プログラムが今ひとつ体系立っていなかった、修了後の転職活動でMBAは殆ど役に立たなかった、企業側は意識して全く活用しようとしていないという辛口の発言もありました。 欧米のMBAは、給与が上がるのがすべてという考え方に比べて、日本企業のMBAに対する捉え方は、かなり食い違いがある様です。そこには、日本的組織の中で、職務的概念が確立されていないという問題が上がっていました。先ずは人在りきで、どこのポジションに当て嵌めるやり方の日本の人事制度の中で、外で専門性を磨いてきた人材をそれなりのポストにつけて活躍させる仕事のやり方になっていないという風土があるとの事です。 また、日本企業のトップの方々、人事部においても、MBAに対する認識が明確では無く、MBAをどう扱っていけばいいかの軸を持っておられないケースが多い様でした。 カリキュラムの問題として、それぞれのニーズが多様性を帯びている中、プログラムが単一のパターンに押し込めていることにも問題はあり、多様なニーズに応えられる学習の機会に応えるためにも、年代別、専門性に分けてのシステム、弾力性のある教育プログラムが必要ではないかとの御意見を伊藤先生から頂きました。

国内MBAの今後の課題としては、カリキュラムの問題、学びに来る人の目的やニーズの多様性、それに応じたプログラムの設定の問題、企業側のMBA活用の受け入れ体制の課題等が上がっていました。 それに対する解決策として、ホルダーの皆さんからは、現在の仕事上、人材紹介の立場から、MBAホルダー側の立場から、人材開発の現場において人事部に求める事、それぞれの立場から伺った処、
1) MBAが認められるには、きちんと結果を出すことが先ず大事である
2) 採用する側にわかりやすく、認証評価制度等で、どの分野でどの程度のレベルにあるかを明示する
3) 中長期的なスパンで見ていく、地道な積み重ねが大事である。

人材紹介会社の立場からは、ベンチャー企業が上場する場合、MBAホルダーのニーズが高まり、採用の際に書類の通過が早いという側面もあるが、それで全てが決まる訳ではなく、やはり最終的には人物次第。MBAはやはり結果を出していく事が大事なのではないか? また、採用の立場からするとMBAをどう評価したらいいかは、今のままではあまりにも曖昧である。認証評価制度等の中で、マーケテイング、アカウンティング、HRM、ファイナンス等、それぞれのセグメントで、どのレベルにあるのか、客観的且つ標準化された数値として、細分化して落とし込んであげないと評価が難しい。そういった評価を履歴書に書くことで能力の評価が少しでもし易くなるのではないか? 国内MBAは未だ、歴史も浅く、中長期的視野で少しづつ、改善されていく中での地道な積み重ねが大事なのではないか。 また、企業側からのホルダーへアクセスする手段が非常に少ない。大学側と企業とのプログラム開発も必要ではないか?という意見もあがりました。 最後に伊藤先生の方から、MBAは自分の問題解決の場であるのだから、先ずは学習目標を持ち、修了後、実力発揮できる様にしなければならない。また、大学側も、MBAホルダーが修了後、実力発揮できる様な仕組みを作っていかなければならないと強く思うと締め括られました。

講演後は、講師の伊藤先生も交えての懇親会が行われ、パネリストのお一人でもあり、最近起業された島田さんのお店のオムトラックがケータリングで素晴らしいお料理を提供して下さり、名刺交換しながらの楽しい歓談の場が持たれました。今回、大変貴重なご講演を頂いた伊藤先生並びにパネリストの皆様には、この場をお借りして、深く感謝申し上げますと共に、今後の益々の繁栄とご成功を心からお祈り申し上げます。

次回からも、新たな企画を考え、皆さんと共に、ためになる且つ有意義な時間を共有していければと思っております。 どうか今後共、宜しくお付き合い頂けます様、お願い申し上げます。

NPO法人MBAキャリアデザイン研究所事務局
 

 
 
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